よさ研レポート2005

.関東よさこい祭りの特徴

 

1.人口が増えている地域で多いのか?
  人口が減っている地域で多いのか?

 

 もう少しよさこいが行われている地域の特徴を見ていきましょう。まずは人口が増えている地域で行われているのか、減っている地域で行われているのかです。減っている地域で行われている場合には、より地域活性化の意味合いが祭りの意味として強くなる、とよさ研では仮定しましたが、どうなるでしょうか?

※緑色なら人口が増えています。濃ければ濃いほど人口が増えている証拠。
 黄色から茶色に向かっていくに従い、人口は減少しています。

※ここでいう「地域に活気を」という場合はどちらかというと商業的な意味合いを、「地域コミュニティ」という言葉を使う場合は住民同士の交流などの意味合いを持っています。

※地図データは別ページで開きます。この地図はお祭り部分をクリックしても、お祭りデータは出てきません!

※人口データは2005年の国勢調査より。よさこいデータは「各地のよさこい」より。
 また、市町村は2005年10月1日現在のものを使用しています。

1.茨城県

 全体的に人口が減少している地域で開催されています。人口が増えているのは東京に近い地域や県庁所在地の水戸周辺、サッカーで有名な鹿嶋のほうなんですね。よさこいが開催されている地域とは少々外れているため、よさこいが開催されている地域は、地域に活気を取り戻したい!という理由で開催されている地域が多いといえます。よさこいを開催している主体も町の商工会などの商業団体が中心になっています。

2.栃木県

 人口は青い線上の周辺で増えています。この線は東北新幹線の線です。よさこいの点は増えているところと減っているところと、はっきり分かれています。増えているところは人口が増えて地域のコミュニティを良くしたい、と始めたかもしれません。減少しているところは地域に活気を取り戻したいと始めているのかもしれませんね。ここには、国際的な観光地・日光で開催される「日光よさこい」も入っています。

3.群馬県

 上の栃木県では新幹線の路線上で人口が増加していましたが、群馬県では様子が異なります。新幹線の駅のある高崎を中心に、東京に近いほど人口が増加しているのですね。中には東京から遠いのに増えているところもあります。よさこいが開催されている地域を見てみると、増えている地域は高崎の「雷舞フェスティバル」のみで、前橋や桐生では人口は減少しています。減少している地域では、地域のコミュニティが重視されているのかもしれません。

4.埼玉県

 都心に近いほど人口が増加しているのは埼玉でも変わりません。坂戸以北と以南ではよさこい開催地域の人口も増減がはっきりしています。人口が増加している地域では、人とのつながりのコミュニティを作って行こうという意味あいのお祭りが多いのではないかと推測できます。減少している地域では地域を(コミュニティとしても、商業的にも)盛り上げて行こうというお祭りが多いと推測できます。

5.千葉県

 千葉県も埼玉県と傾向は同じです。違うのは、人口が多い地域にお祭りが多いことです。これは地域の活性化より地域のコミュニティを重視したお祭りが多いからだと推測できます。そう考えると、人口が減少している地域ではより地域を盛り上げたい、という気持ちが強いのかもしれません。

6.東京都

 東京はほとんどの地域で人口が増加しています。最近都心でマンションがたくさん建っている、という報道を多くの方が耳にされているとおり、近年人口が減少していた23区内でも人口が増えています。よさこいが開催されている地域のすべてで人口が増加しているのも東京のみです。しかし筆者は山手線周辺とそれ以外のお祭りとでは性格が違うと考えています。詳しくは次項で。

7.神奈川県

 基本的には、東京から離れると人口は減少していく傾向ですが、ところどころ歯抜けがあります(駅までの交通の利便性などが要因として考えられますが、ここでは詳しく取り上げません)。基本的に平塚以東では人口が増えている地域での開催、以西では人口が減少している地域での開催です。増えている地域では新旧の住民が混ざる中での地域の団結を考えているのでは、と推測できますし、減少している地域では、地域を盛り上げたい、という気持ちが強いのではないかと推測できます。

8.新潟県

 ほとんどの地域で減少しているんですね。増えているのは新潟市周辺など、ごく一部です。確かに、全国的な流れでは人口が減少している地域のほうが多数。全国的な流れはこうなのかもしれません。よさこいが開催されている地域で増えている地域は新潟市の「新潟総おどり祭り」のみ。他の地域は減少しています。地域を盛り上げる、という気持ちがひしひしと伝わってきそうです。

9.山梨県

 (山梨県は、昨年開催されたお祭りが「石和よさこい」のみですので、あくまで参考としてお考えください)意外ですが、山梨では東京から離れるにつれ、人口が増加している地域が多いのですね!びっくりしました。「石和よさこい」が開催された笛吹市は人口が増加していますが、ちょっと注意が必要です。このお祭りは温泉宿が立ち並ぶ温泉街で開催されたこともあり、観光客を意識しているからです。そのため、きっぱりとなかなか言う事ができませんね。

10.長野県

 長野は電車が走っている路線上で人口が増加しています。長野市や松本市は例外ですが、これは市町村合併の影響が大きそうですね(近隣の町村と多く合併しています)。よさこいが開催されている白馬、穂高は人口が増加しています。どちらもアルプス登山の入り口として有名な地域ですが、地域のコミュニティを意識していることもうかがえます。

11.静岡県

 人口が増えている地域と減っている地域がはっきりと分かれています。東京に近い地域と浜松を中心とした名古屋に近い地域で増えている事が分かります。工場の立地なども関係してきそうですね。よさこいも似たような傾向になっていますが、沼津では若干減少しているなど、地域によって微妙な差がありそうです。そういえば沼津(よさこい東海道)は全国各地から来ている…ヒントになりそうです。

 

 全体を通してみると、都心や県庁所在地など人口が増えているところは、地域の団結などのコミュニティを重視しているのではないかと推測できます。逆に人口が減少しているところは、加えて地域を盛り上げたい!ということを重視しているのではないかと推測できます。しかしこれだけでは、人口が増えていても東京都心のようにオフィスや商業地が立ち並んでいるところは違うのではないか?という疑問がわいてきます。そこで次項では「昼夜間人口」なるものを用いて、もう少し詳しくみていきます。

 

 

2.住宅街で多いのか?
  商業地で多いのか?

 

・昼夜間人口とは?

 昼夜間人口とは、昼と夜との人口差を表したものです。例えば、人口1万人のA町とB町があるとします。昼間はA町から2000人がB町に働きに行ったり、学校に行くために出て行くとしましょう。そうすると、昼間の人口はA町が8000人、B町が12000人となります。昼夜間人口は、昼間の人口から夜帰ってきたときの人口を引いて求めます。そのため、

A町の昼夜間人口:8000−10000=−2000(人)
B町の昼夜間人口:12000−10000=2000(人)

となります。マイナスならば、その町は住宅街としての役割が強く、プラスならば、商業地や学校など、人が集まる要素がたくさんある事が伺えます。この要素を使って、もう一度県別に見ていきましょう。

 

※緑色なら人口増加率が高いです。濃ければ濃いほど人口増加率が高い証拠。
 黄色から茶色に向かっていくに従い、人口増加率はマイナスになっています。

※ここでいう「地域に活気を」という場合はどちらかというと商業的な意味合いを、「地域コミュニティ」という言葉を使う場合は住民同士の交流などの意味合いを持っています。

※地図データは別ページで開きます。この地図はお祭り部分をクリックしても、お祭りデータは出てきません!

※人口データは2000年の国勢調査より。よさこいデータは「各地のよさこい」より。
 また、市町村は2005年10月1日現在のものを使用しています。

1.茨城県

 昼間の人口が高いのは水戸やつくば周辺鹿嶋などオフィスや工場、商業地が並ぶごくわずかな地域に限られています。他の地域では、これらの地域や東京などの大都市に通勤・通学している事がうかがえます。よさこいが開催されている地域はほとんどが昼間の人口がマイナスになっています。住宅街としての地域が多い事が伺えます。

2.栃木県

 基本的な傾向は茨城と同じですが、人口増加率の項で大きく減少していた日光とその周辺地域は多くなっています。これは日光のお土産屋さんや温泉宿など、観光地で働く人が周辺の町村からやってくる事が推測されます。よさこいが開催される地域では、このように昼間人口が増加している地域が多い事が特徴となっています。

3.群馬県

 高崎と一部の地域で増えるほかは軒並み昼間の人口は減少しています。特に高崎と隣接する地域は減少幅が大きくなっており、離れるに従い緩やかになっていきます。県庁所在地など大都市から離れると人口移動が少ない事が考えられますね。よさこいが開催されている高崎・前橋といった大都市・県庁所在地では昼間の人口が高く、桐生は少ない事が分かります。商業的な色合いが強い事が伺えますね。

4.埼玉県

 ほとんどの地域で大きく減少しています!何といっても大都市・東京に近く、働きに出ている人も多い事が考えられます。東京に近いほどその傾向が顕著に出ますね。よさこいが開催されている地域のすべてで昼間人口が減少していることを考えると、住宅街として地域住民のコミュニティを大切にしよう、と始まったお祭りが多そうな事が伺えます。

5.千葉県

 埼玉と同じ傾向が見られます。しかし、千葉駅周辺に当たる千葉市中央区・美浜区や成田市周辺などでは昼間の人口が増加しています。千葉駅周辺は商業地でありビジネス街であること、成田市は成田空港があり空港などで働く人が多い事が考えられます。よさこいが行われている町の傾向としては、埼玉と同様です。唯一の例外が千葉市中央区周辺で開催されているちばYOSAKOIぐらいでしょうか。

6.東京都

 前の項「人口増加率」でも少し触れたように、山手線周辺とそれ以外では明らかに傾向が違います。やはり山手線周辺は昼間にやってくる人も多く、ビジネス街や学校が多くある場所としての地位を確立しています。特に千代田区では昼間の人口と夜の人口の差がおよそ23倍!いかにたくさんの人々が都心に通勤・通学しているかが分かりますね。よさこいが開催されている山手線周辺地域もこうした商業地など地域を盛り上げたい、という気持ちがうかがえます。それ以外のよさこいが開催されている地域では減少しているところがほとんどなのですが、武蔵野市(吉祥寺があるところ)・立川市・八王子市では増加しています。ビジネス街として、また学校が多い地域でもありますね。

7.神奈川県

 ビジネス街として横浜駅周辺や川崎駅周辺、工場の多い川崎の臨港地区や厚木市、中井町、大観光地箱根町など、昼間の人口が多くなる地域は点在しています。よさこいが開催されている地域で昼間の人口が多いのは横浜(ハマこい)川崎市川崎区(大師よさこい)平塚市(平塚七夕星舞フェスタ・湘南よさこい)です。商業地として、また平塚七夕など有名な七夕祭りの中の一イベントとして開催されているものもあります。それ以外の地域は地域の活性化を考えて開催されている事が伺えます。

8.新潟県

 基本的昼間の人口が増えているところが多いですね。しかし、東京の山手線周辺と異なり、緑の色も薄くなっています。これは自分が住んでいる町で仕事をしている人が東京大都市圏に比較して多いのでは?と考えられます。よさこいが行われている地域は比較的昼間の人口が増えている地域が多いですね。新潟はさておき、柏崎は原子力発電所、佐渡は観光の拠点として働く人が多いのではと考えられます。そういう意味では、商業的な意味で地域を盛り上げるという意味合いが高そうですね。

9.山梨県

 基本的には甲府市とその周辺で昼間の人口が高くなっています。温泉地も多いですから、温泉宿で働く人も多いのかもしれませんね。個人的には、一時話題になった「南アルプス市」で昼間の人口が高い理由を知りたいです。石和温泉を含む笛吹市は若干少なくなっています。石和は大温泉地ですが、隣が甲府市というのも大きな理由でしょうか。

10.長野県

 松本市や軽井沢といった、観光地としても名をはせているところで昼間の人口が多くなっています。全体的には緑のところが多くなっていますね。長野も温泉地かつ大観光地なので、これらの地域で働く人が多いのでしょう。よさこいが開催されている地域では、白馬では昼間の人口が高く、穂高は少し減少しています。白馬のほうが商業地、観光地としての意味合いが高い事が伺えますね。逆に穂高は地元の住民コミュニティも重視してそうだということも考えられます。

11.静岡県

 大きな都市では昼間の人口が高いという傾向は他の地域と比べても変わりません。しかし、よさこいが開催される地域で見てみると、沼津を境に昼間の人口が増える大きな都市と昼間の人口が減る中小の市と町という分かれ方をします。伊東や東伊豆町(稲取温泉)など、温泉地として有名ですが、交通の便がいいからか、もしかしたら東京方面に出てしまう人も多いのかもしれませんね。御殿場は、電車で沼津に行くのが近いことも大きく影響していそうです。

 

3.さて、どんな特徴が?

 

  ここでは関東一都六県に限りまとめると、

・都心に近く、人口の増えている地域はよさこいのお祭りも多い(都心から離れている地域と比較しその数2倍)

・昼間人口の高い地域でよさこいのお祭りがあるのは23区、八王子、川崎市川崎区、横浜、千葉市中央部、高崎など。ビジネス街、商業地、学校が多い?

・その他の地域は昼間の人口が少ない→住宅街と考えていい?

だいたいこんな感じです。ということは、

・ビジネス街、商業地、学校が多い

・住宅街

二つの見方で考える事ができそうです。次では、「よさ研ニュースレター」を元に、もう少しよさこいが開催された都市の特徴を見ていきます。

 

 

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